エアコン施工において ドレン排水処理 は見落とされがちですが、実は最もトラブルが起こりやすい工程の一つです。
水漏れ・逆流・異臭といった問題は、ほとんどがドレン処理の不備から発生します。
本記事では、施工現場でよくある不具合と、その改善策をプロ目線で解説します。
1. よくあるドレン排水の不具合
① ドレン勾配不足
ドレンホースが水平または逆勾配になり、水が流れず逆流するトラブル。
症状:室内機からの水漏れ、ドレンパンの水位上昇
主な原因
- 曲げすぎによるホースの潰れ
- 壁貫通位置が高く、勾配が取れていない
- 配管カバー内での無理な取り回し
② ドレンホースの詰まり
ホコリ、虫、藻、結露水の溜まりなどにより排水が塞がる。
症状:水がポタポタ落ちる、異臭
主な原因
- 外部ホース先端に防虫キャップ未使用
- 長期間メンテナンスされていない
- 排水ルートの途中で垂れ下がり(サイフォン状態)
③ ドレン接続部の抜け・緩み
差し込み不足やテープ固定の甘さで起きるトラブル。
症状:施工後すぐの水漏れ、天井裏での滴下
主な原因
- 差し込み不足
- 振動による緩み
- 接続部の固定忘れ
④ 室内機ドレンパンの水平不良
室内機の取り付けが“傾いている”ことにより排水が片側に寄り、水漏れを起こす。
症状:運転直後からの水漏れ
主な原因
- 急ぎ作業でレベル確認不足
- 壁のたわみ・固定金具のズレ
2. 施工現場でできる改善策
① 必ず1/100以上の勾配を確保
- 最低でも1mあたり1cmの下がりを確保
- 配管カバー内部も勾配が取れているか確認
- 施工後は必ず「水テスト」で流れを確認
② ホース先端には必ず防虫キャップを
- 虫の侵入による詰まりを防止
- 水の逆流も抑える
- 外部排水位置は地面から離し、常に開放状態に
③ 接続部は差し込み+固定を徹底
- 室内ドレンは特に抜け防止処理を確実に
- 気密処理(パテ)と一緒に確認
- 必要に応じて補助テープで固定
④ 室内機の水平チェックは2回する
- 取り付け後、水平器で左右・前後を確認
- 施工後の振動でズレが出やすいため、ネジ締めの最終確認を行う
- 水を流して排水ルートの動きをチェック
3. トラブルを未然に防ぐためのポイント
- 配管ルートを施工前に明確化
- 無理な曲げ角度を作らない
- 室外側ホースは“風・衝撃・動物”による外力も想定
- 点検口がある現場はドレン経路の確認を忘れずに
- 最後に「水テスト」は必須
施工は丁寧な確認が最も重要です。
小さなミスが大きなクレームにつながるため、ドレン処理だけは慎重に仕上げましょう。

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