エアコンの買い替えや移設を検討する際、「今使っている冷媒配管は再利用できるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。配管を再利用できれば工事費を抑えられる可能性がありますが、条件を満たさないまま再利用するとガス漏れや故障の原因になることもあります。
本記事では、エアコン工事における配管再利用ができるケース・できないケース・判断基準・注意点を、空調専門の視点で分かりやすく解説します。
エアコンの配管とは?
エアコンの「配管」とは、室内機と室外機をつなぐ以下の部材を指します。
- 冷媒配管(銅管)
- 断熱材
- ドレンホース
- 連絡電線
特に重要なのが**冷媒配管(銅管)**です。冷媒ガスが循環するため、傷や汚れ、サイズ不一致があると性能低下やトラブルにつながります。
配管再利用ができるケース
以下の条件を満たしている場合、配管再利用が可能なケースが多いです。
① 冷媒の種類が同じ
現在主流の冷媒は「R32」や「R410A」です。旧型のR22用配管は、肉厚が異なる場合があり、そのまま再利用できないことがあります。
✔ R410A → R32 への流用は原則可能(メーカー条件あり)
✖ R22 → R32 は基本的に不可
冷媒の種類が異なると、圧力やオイルの性質が違うため注意が必要です。
② 配管の長さが適正
再利用する配管の長さが、新しいエアコンの仕様範囲内であることが条件です。
- 標準配管長を超えていないか
- 高低差が規定内か
長すぎる配管は能力低下の原因になります。
③ 配管内部が清潔
配管内部に水分や異物が混入していると、コンプレッサー故障のリスクがあります。
以下の場合は再利用が難しくなります。
- 取り外し時に大気開放したまま放置
- 端部がテープ止めされていない
- 長期間使用していた配管
真空引き・フラッシングで対応できる場合もありますが、状態次第です。
④ フレア加工部が健全
接続部のフレア加工に割れや変形がある場合は再利用不可です。再加工できる余長があれば可能ですが、短すぎる場合は交換が必要です。
配管再利用ができないケース
以下のような場合は、基本的に新規配管が推奨されます。
① 冷媒がR22だった旧配管
R22用配管は肉厚不足や内部汚染の可能性が高く、現行機種には適しません。
② 配管が潰れている・折れている
銅管は一度潰れると内部断面が変形し、冷媒循環効率が落ちます。無理に使うと能力低下や異音の原因になります。
③ 断熱材が劣化している
断熱材がボロボロの場合、結露や水漏れリスクが高まります。見た目以上に内部劣化が進んでいるケースもあります。
④ ガス漏れ歴がある配管
過去にガス漏れ修理をした配管は、微細なクラックが残っている可能性があります。再発防止のため交換が無難です。
配管再利用のメリット
- 工事費を抑えられる
- 壁穴を広げずに済む
- 美観を保てる
特に隠ぺい配管(壁内配管)の場合、再利用できると大きなメリットになります。
配管再利用のデメリット・リスク
- 内部汚染による故障リスク
- 保証対象外になる場合がある
- 能力低下の可能性
メーカーや施工業者によっては、再利用時の保証範囲が限定されることもあります。
プロが見るチェックポイント
工事前に以下を確認します。
✔ 冷媒種類
✔ 配管径(2分3分・2分4分など)
✔ 肉厚規格
✔ 配管の曲がり・潰れ
✔ フレア面状態
✔ 内部乾燥状態
これらを総合的に判断して、再利用の可否を決めます。
費用の目安
- 配管再利用:追加費用なし〜数千円
- 新規配管交換:1〜3万円程度(長さ・施工条件による)
一見高く感じますが、将来的なトラブル回避を考えると安い投資になることもあります。
こんな場合は交換がおすすめ
- 設置から10年以上経過
- 旧冷媒機種からの買い替え
- 室外機位置を変更する
- 配管が露出して劣化している
長期使用した配管は見えない劣化が進んでいるケースが多いです。
まとめ|配管再利用は「条件付きで可能」
エアコンの配管再利用は、条件が整っていれば可能です。しかし、安易な再利用はトラブルの原因になります。
再利用できるかどうかは、冷媒種類・配管状態・長さ・施工環境で決まります。
買い替え時には「とりあえず再利用」ではなく、必ず専門業者による事前確認を行いましょう。長く安心して使うためには、初期判断が非常に重要です。
エアコン工事で後悔しないために、配管の状態チェックを怠らないようにしましょう。


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