空調設備は快適な室内環境づくりに欠かせませんが、設置後に振動や騒音のトラブルが発生すると、住居・オフィス・店舗などでのストレス要因になります。これらの問題は、設計段階のチェック不足が原因となるケースが多く、事前にポイントを押さえることで大幅に防止できます。
本記事では、空調設備の振動・騒音を抑えるために、設計段階で必ず確認すべきポイントを解説します。
■ 1. 室外機の設置場所の選定
空調設備の振動・騒音トラブルの多くは室外機が原因です。
● 設置場所の基本チェック
- 窓や寝室周辺を避ける
- 壁面からの反射音が強くならない場所を選ぶ
- 排気・吸気が妨げられないスペースを確保
- 近隣住宅との距離をチェックし、騒音クレームを防止
● 振動を伝えにくい設置方法
- 防振ゴムの使用
- 振動を床に直接伝えない置台の使用
- ブロック・架台の水平レベルの確認
■ 2. 室内機の取り付け条件
室内機も間違った取り付けにより振動・異音を引き起こします。
● 壁・天井強度の確認
- ボード壁の場合は補強材の有無を確認
- 重量に耐えられる構造か
- たわみが発生しないよう、水平器で正確に設置
● 設置角度のズレ
ドレン排水にも関わる部分。
角度がズレると水漏れや内機振動の原因に。
■ 3. ダクト・配管の設計
ダクト・配管は振動を伝えやすい部分のため、設計段階での配慮が必須です。
● チェックポイント
- 曲がりが多すぎるルートは避ける
- サポーター(吊りバンド)を適切な間隔で
- 配管の接触によるカタカタ音の防止
- 断熱材の隙間を作らず、共振を防ぐ
■ 4. 防振設計の導入
商業施設・大型建物では特に必須です。
● 主な防振対策
- 防振架台の使用
- 防音ボックスの採用
- 床・壁の防振下地
- 共鳴しやすい空間への設計配慮
■ 5. メーカー仕様の確認と適正能力の選択
● 無理な能力選定は騒音の原因に
- 過剰スペック → 運転音が大きい
- 低スペック → 常に全力運転で騒音増加
メーカー推奨条件を守ることで静音性も保たれます。
■ 6. 周囲環境を考えたシミュレーション
● 特に注意したい建物条件
- マンションのバルコニー
- 店舗の裏スペース
- 建物の共用廊下
- 機械室の反響音
設計段階で音の反射・伝達を確認することで、施工後のトラブルを防ぎます。
■ まとめ
空調設備の振動や騒音は、ほとんどが設計段階で防げるトラブルです。
✔ 設置場所の選び方
✔ 防振資材の適切な使用
✔ 配管・ダクトのルート設計
✔ 周囲環境の音響特性の確認
この4点を押さえることで、施工後のクレーム・再訪問・手直しを大幅に削減できます。
「静かに、快適に」
空調設備を使っていただくためにも、設計段階でのチェックが最も重要です。


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