「暖房をつけているのに足元が寒い」
「エアコンは動いているのに部屋が暖まらない」
冬になると、このような悩みを抱えるご家庭は非常に多く見られます。
実はこの症状、エアコンの性能不足ではなく、**空調設計や施工上の“ミス”**が原因であるケースが少なくありません。
今回は、暖房の風が床に届かない理由と、本当に効果のある改善方法を空調のプロ目線で解説します。
なぜ暖房の風は床に届かないのか?
暖房時、エアコンから出る空気は暖かいため軽く、自然と上へ上がる性質があります。
そのため、設計や施工が適切でないと、次のような状態が起こります。
- 天井付近だけ暖かい
- 足元が冷えたまま
- 設定温度を上げても体感が変わらない
これは、エアコンの能力よりも空気の流れをコントロールできていないことが原因です。
よくある空調ミス① 設置位置が高すぎる
エアコンを「なるべく高い位置」に設置するケースは多いですが、
間取りや天井高によっては、暖房効率を大きく下げてしまうことがあります。
- 吹き抜けがある
- 天井が高い
- 部屋が縦に長い
このような空間では、暖かい空気が天井に溜まり、床まで届きません。
よくある空調ミス② 風向き・風量が適切でない
暖房時に「風が強すぎるのが嫌」で風量を弱くしていると、
暖かい空気が循環せず、天井付近に滞留してしまいます。
本来、暖房時は
風向きを下向き+ある程度の風量が必要です。
よくある空調ミス③ 部屋の構造を考慮していない
次のような間取りでは、空調の考え方が非常に重要です。
- リビング階段
- 廊下と直結した部屋
- 引き戸・開口部が多い空間
これらの空間では、暖かい空気が逃げやすく、
床付近が常に冷えた状態になります。
よくある空調ミス④ エアコン容量が合っていない
「畳数表示」を基準にエアコンを選んだ結果、
実際の環境に合っていないケースも多くあります。
- 断熱性能
- 窓の大きさ・数
- 方角(日当たり)
これらを無視すると、暖房時に力不足となり、
風が床まで届く前に失速してしまいます。
プロが行う正しい改善方法とは?
空調のプロは、単に「エアコンを替える」だけではありません。
- 空気の流れを考えた設置位置の見直し
- サーキュレーターや補助空調の併用提案
- 床付近に暖気を送る工夫
- 電気容量や運転制限の確認
- 家全体の温度ムラを減らす設計
これにより、足元からしっかり暖かい空間を実現します。
こんな症状があれば要注意
次の項目に当てはまる場合、空調の見直しで大きく改善する可能性があります。
- 暖房を28℃以上にしないと寒い
- 天井付近だけ暖かい
- 冬になると電気代が急に上がる
- 家族で寒さの感じ方に差がある
- 厚着しないとリビングにいられない
暖房が寒い家は「空調ミス」を疑うべき
冬の寒さは、我慢するものではありません。
正しい空調設計・施工を行えば、同じエアコンでも体感は大きく変わります。
「エアコンが古いから」「家が寒いから仕方ない」
そう思う前に、空調の使い方・設置・環境を見直してみてください。
プロによる確認で、意外なほど簡単に解決することもあります。


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